091981 ランダム
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ももちランド

ももちランド

白いマント

         白いマント


「大寒、小寒、山から小僧がとんできた」

 おばあさんが、いろりの火にあたりながらいいました。

「小僧って、どんな小僧がとんでくるの?」

きよしちゃんが、聞きました。

「それはなあ、まっ白い雪のようなマントを着た、子どもだよ。その子どもが、向

こうの山から駆けてくると、雪が降るぞな」

 けれど、おばあさんもまだ、その小僧を見たことがないといいました。

きよしちゃんは、一度その小僧を見たいものだと思いました。

きよしちゃんは、外へ出て、向こうの山をながめました。

山の上の空はくもって、今にも雪が振り出しそうに見えました。

 そのあしたは、寒い風が、ぴゅうぴゅうと吹きました。

きよしちゃんは、黒いマントを着て、学校へ行きました。

学校へ来てみると、廊下の壁のところに、たくさんのマントが並んでつりさがって

いました。

 きよしちゃんは、白いマントを着た小僧のことを思い出しました。

たくさん並んでいるマントの中に、もしかしたら、白いマントがあるかもしれませ

ん。

白いマントがあれば、それは、山から飛んできた小僧のものに違いないのです。

きよしちゃんは、胸をどきどきさせて、ずっと廊下の端から端をまで、マントを見

て歩きました。黒いマントの間に、女の子の赤いマントも並んでいました。

でも、白いマントは、とうとう見つかりませんでした。

「小僧が飛んでくるなんて、きっとうそなんだ」と、きよしちゃんは、思いまし

た。

 その晩、風がやんで、外は静かになりました。

夜中に、きよしちゃんのうちの縁側の戸を、だれか、とんとんたたきました。

とうとう、白いマントを着た小僧が、やってきたのです。

そけは、小さい小さい豆粒のような、雪の子どもでした。

 とんとん  とんとん

 雪の子どもは、一生懸命戸をたたきましたが、きよしちゃんもおばあさんも、ぐ

っすり眠っていて、返事をしませんでした。


 


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